ジャンプのTVアニメ『ダンダダン』のオープニングを飾るCreepy Nutsの「オトノケ」は、ただの主題歌ではありません。
言葉遊びとビート、都市伝説とオカルトの要素が交錯するこの楽曲には、R-指定とDJ松永の音楽哲学が込められています。
この記事では、『ダンダダン』の世界観と音楽のつながりを読み解きます。
この記事を読むとわかること
- 「オトノケ」に込められた怪異と音楽の意味
- 「TAIDADA」が描くモモの心情と成長
- 『ダンダダン』の世界観と楽曲の深いリンク
「ダンダダン」の“音の正体”とは?Creepy Nuts「オトノケ」に込められた意味
TVアニメ『ダンダダン』のオープニングテーマである「オトノケ」は、ただのタイアップ曲ではありません。
作品の根底にある“怪異と人との関係性”を、音楽というフィルターを通じて再解釈した、極めてコンセプチュアルな一曲です。
ここでは「オトノケ」に込められた意味を、キーワードとリリックに沿って深掘りしていきます。
「オトノケ」とは“音の妖怪”という造語
曲名「オトノケ」は、都市伝説掲示板『洒落怖』に登場する怪談「ヤマノケ」に由来し、そこから発展した造語とされています。
「音」と「物の怪(もののけ)」をかけ合わせた“音の怪異”=オトノケは、R-指定の発想によって形作られました。
このネーミングは、音楽そのものを“怪異”と見立て、人の心に忍び込む力を持つものとして描いていることを示唆しています。
怨霊も音も、人に“取り憑く”存在として描かれる
『ダンダダン』の世界では、霊や妖怪は人の念(おもい)に共鳴して取り憑くとされています。
R-指定はこれを「音楽がリスナーの心に取り憑く」現象と重ね、音楽もまた“念の残り火”であると捉えました。
この視点から「オトノケ」は、音楽そのものが意思を持ち、人の魂に寄り添う“存在”として描かれています。
ひらがな歌詞(1番) |
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だんだだんだんだだんだんだだんだんだだん |
あきらめのわるいやから |
あんたらなんかじゃたばなってもかなわん |
くわばらくわばらくわばらめにもとまらんはやさ |
くたばらんだまらんさがらんおしとおすわがまま |
そこどきなじゃまだ おれはもうひとりのあなた |
さだちゃんかやちゃんわんさかよみのくにわんだーらんど |
ごきとうちゅうになんだがよじよんじゅうよんふんまわったら |
よんしゃくよんすんよんぶさまがかみなっちゃばんぐあらうんど |
よぶこえがしたんなら もじどおりおつかれさまやん |
はいれたはいれたはいれたはいれたはいれた |
ひっしではいでたさきできりははれた |
でことぼこがうまくかみあったら |
いたみがかさなったら |
こころからだあたま |
みなぎってゆくなんだか |
せなかにいまはねがはえたならば |
くらやみからおさらば |
とびたっていくかなた |
こころからだあたま |
なつかしいあたたかさ |
あしもとにいまはながさいたならば |
くらやみからおさらば |
とびたっていくかなた |
なんどだっていきる |
おまえやきみのなか |
まぶたのうらやみみのなか |
むねのおくにいついてるめろでぃーりずむに |
だんだだんだんだだんだんだだんだんだだん |
リスナー=取り憑かれた者? 共鳴から生まれる音楽体験
冒頭の「ダンダダン…」という連呼は、言語を超越した呪文的リズムとして機能し、リスナーの意識に入り込む仕掛けです。
R-指定はこの“取り憑く感覚”を「お憑かれさまやん…」というパンチラインで明示し、音楽が人に作用する様子を怪異的に可視化しています。
つまりこの楽曲において、リスナー=怪異に取り憑かれた存在であり、音との共鳴体験そのものが物語として昇華されているのです。
都市伝説とホラー、ジャンプ作品のサンプリングが光るリリック
「オトノケ」の歌詞には、都市伝説やホラー映画、ジャンプ漫画をはじめとするポップカルチャーの要素が巧みに織り込まれています。
その言葉選びや引用の仕方は、リリックの域を超えて、ひとつの“物語”としても機能しています。
ここでは、そんなサンプリングの妙技に注目し、R-指定のリリカルセンスを読み解いていきます。
「ダンダダン」は意味を超えた呪文的リズム
曲冒頭の「ダンダダンダンダダンダンダダンダンダダン…」は、言葉というよりも原初的なリズムであり、音による“憑依”の儀式のようにも感じられます。
母音「アンアアン」の反復が続くこのリズムは、強烈な印象とともに、リスナーを「オトノケ」の世界へと引き込みます。
この反復が、以後の韻やリリックの“揺らぎ”のベースになっており、言語とビートの境界を曖昧にする効果を持っています。
貞子・伽椰子・ターボババア…怨霊ワードがずらり
「貞ちゃん伽椰ちゃんわんさか黄泉の国wonderland」では、ホラー映画『リング』『呪怨』の代表的なキャラクターが引用されます。
“バケモンにはバケモンをぶつけんだよ”という映画『貞子vs伽椰子』のセリフが、『ダンダダン』の戦闘スタイルにも重なる重要な伏線です。
また「ターボババア」といったネット発の都市伝説もリリックに登場し、令和の怪談としての臨場感を演出しています。
「くわばらくわばら」「四尺四寸四分様」など日本古来の怪異も登場
「くわばらくわばら」は、雷除けとして知られる日本の古呪で、菅原道真公にまつわるエピソードから引用されています。
また、「四尺四寸四分様」は2ch発の怪談「八尺様」のパロディで、身長の数値からR-指定自身を“怪異化”して見せるユーモアも見逃せません。
こうした日本的ホラーの要素とヒップホップが交錯することで、現代の“音の妖怪”としてのR-指定像が浮かび上がってきます。
構成とリズムに込められた“呪術”的な仕掛け
「オトノケ」の魅力はリリックだけにとどまらず、その楽曲構成やリズムの仕掛けにも表れています。
まるで儀式のような構造と反復が、音楽を“呪術的な体験”へと昇華させています。
ここでは、Creepy Nutsの技術とセンスが冴えわたる構成美に注目してみましょう。
アカペラから始まる詞先スタイルの楽曲構成
「オトノケ」は、Creepy Nutsでは珍しい詞先(しせん)=歌詞先行型で制作された楽曲です。
冒頭の「ダンダダン」の連呼は、アカペラの状態ですでに完成しており、そこからビートやトラックが構築されていきました。
この構成が、リスナーに“言葉がビートを支配する”感覚を強く印象づけています。
丸サ進行・小室進行など多彩なコードでエモーショナルに
AメロやBメロではいわゆる丸サ進行(4361進行)、サビでは小室進行(6451進行)が使われており、日本のJ-POPリスナーに馴染み深いエモーショナルな響きを生んでいます。
リリックの狂騒的な世界観とは対照的に、音楽的には聴き手を包み込む優しさが存在し、そこにCreepy Nutsらしい“振り幅”が感じられます。
エモーショナルなメロディに怪異的な歌詞が乗ることで、「心に取り憑かれる音楽」というテーマがより強調されているのです。
「ハイレタ」「ココロカラダアタマ」の反復が持つ意味
「ハイレタハイレタハイレタ…」というフレーズは、都市伝説「ヤマノケ」で語られる怪異の囁きから着想を得たもの。
この呪文のような反復が、曲に“憑依された感覚”をもたらしています。
また、「ココロカラダアタマ」というワードの繰り返しは、音楽が聴き手の内面すべてに影響を及ぼす様子を表現しています。
それはまるで魂に刷り込まれる呪文のように機能し、「オトノケ」が単なる楽曲ではなく“現象”であることを物語っています。
サビは“怪異の成仏”と“音楽の昇華”を象徴するパート
「オトノケ」のサビは、怪異として描かれた音が“成仏”し、音楽として昇華されていく象徴的なパートです。
エネルギッシュでキャッチーなメロディが、リリックに込められた深い情念を優しく包み込みます。
ここでは、歌詞のキーフレーズに注目しながら、音と魂の“昇華”の瞬間を読み解きます。
「暗闇からおさらば」=解放される魂と聴き手の共鳴
サビの中心にあるフレーズが「暗闇からおさらば」です。
この言葉には、怪異に憑かれていた存在、あるいは苦しみや悲しみを抱えた者が、音楽の力で“浄化”されていくイメージが込められています。
さらに「背中に今 羽が生えたならば」「足元に今 花が咲いたならば」と続き、再生と解放のモチーフが連なることで、リスナーにも希望の感情が伝播していきます。
「何度だって生きる」=音楽が残す永続的な生命
サビ後半の「何度だって生きる お前や君の中」というラインは、音楽がリスナーの中に生き続けるという“音の輪廻”を表現しています。
この魂の再生のような描写は、「怪異が思いを遂げて成仏する」という伝統的な怪談構造とも重なります。
そして最後に「瞼の裏や耳の中 胸の奥に居着いてるメロディー、リズムに」と締めることで、音楽が聴き手の中に残り続ける力を強く印象づけています。
エンディング曲「TAIDADA」が描くモモの心情
オープニングの「オトノケ」が“怪異×音楽”をテーマにした攻撃的な一曲なら、エンディングの「TAIDADA」は、感情の揺れと青春のもどかしさを丁寧にすくい上げるような繊細な楽曲です。
ACAねが率いる「ずっと真夜中でいいのに。」が手掛けるこの曲は、モモというひとりの少女の視点から『ダンダダン』の世界を描いています。
ここでは、歌詞に込められたモモの心情を軸に、「TAIDADA」の意味を読み解きます。
揺れる感情とオカルンへの想いを繊細に表現
「割り切る前に黙った」「傷つく前に笑った」──このような歌詞には、自分の気持ちを押し殺してしまうモモの不器用さが現れています。
彼女はオカルンへの想いをうまく言葉にできず、その繊細な距離感が、楽曲全体のトーンとして響いてきます。
「お守りみたいな僅かな共通点」というラインには、共に“信じるもの”を持つ二人の絆がにじみ出ています。
“怠惰”を自覚し、向き合うことで成長していく姿
タイトルにもなっている「怠惰だ」は、単なるネガティブワードではありません。
「全身演じきってよ 全開でその程度?」「不器用で優しいだけでは超えらんないです」という歌詞からは、自己否定と前進欲求のせめぎ合いが感じられます。
その“怠惰”を見つめ直すことで、自分自身を少しずつ動かし、成長しようとする姿勢が浮かび上がってくるのです。
モモとオカルンの関係が歌詞に溶け込む構成
「感情戦を君と 練っていきたいんだよ」というフレーズには、感情をぶつけ合いながら絆を築こうとする意志がにじみます。
モモが“君”=オカルンとどう向き合うか、どう自分の気持ちを言葉にするかが、この曲のテーマのひとつです。
「怠惰だ countdown」は、新たな自分に生まれ変わるための“静かな決意”とも読み取れ、彼女の内面と物語の進行がリンクした構成になっています。
「ダンダダン」歌詞と意味を読み解くまとめ
TVアニメ『ダンダダン』の主題歌として制作された「オトノケ」と「TAIDADA」は、それぞれ全く異なるアプローチで作品の世界観を深めています。
一方は“音の怪異”としてリズムとリリックで聴き手に憑依し、もう一方は“少女の葛藤”として内面を優しく掘り下げる構成です。
このふたつの楽曲が生むコントラストが、『ダンダダン』という物語に多層的な深みを与えているのです。
「オトノケ」と「TAIDADA」、ふたつの歌が支える『ダンダダン』の世界
「オトノケ」は、リズムや言葉を駆使して音楽を“怪異”として描いた挑戦的な楽曲。
対して「TAIDADA」は、モモというキャラクターの心情をベースに、葛藤や成長の機微を丁寧に表現した一曲です。
ふたつの歌はそれぞれ“外側の世界”と“内側の世界”を表しており、まるで陰陽のように『ダンダダン』の世界を支えているのです。
音楽×オカルト×青春が融合したCreepy Nutsの世界観に注目
Creepy Nutsが描く音楽は、ただの楽曲にとどまらず、物語の語り部としての役割を果たしています。
都市伝説、ホラー、オカルト、そして青春というテーマをひとつの曲の中で融合させた彼らの世界観は、もはや“語り”の域を超えた新しい音楽体験と言えるでしょう。
『ダンダダン』という異色のアニメ作品にぴったりと寄り添う「オトノケ」と「TAIDADA」は、物語の一部として心に深く残る楽曲です。
/#AnimeJapan2025 DAY2
\今日もあちこちに出没👻👽#ターボババア と #セルポ星人 がやってくる‼️
▼3/23 出没スケジュール(各ブース)
①10:15~10:30 ShoPro
②12:05~12:25 アニプレックス
③14:00~14:20 MBS
④15:15~15:35 アニプレックス
⑤16:00~16:15 MBS#AJ2025 #ダンダダン pic.twitter.com/PVcZDnEMwI— 「ダンダダン」TVアニメ公式 | 第2期は25年7月から放送予定 (@anime_dandadan) March 23, 2025
この記事のまとめ
- 「オトノケ」は音楽を“怪異”と捉えた挑戦的な楽曲
- 都市伝説・ホラー・ジャンプ作品のサンプリングが満載
- 呪術的なリズムと構成がリスナーに憑依する仕掛け
- サビは成仏と再生を