『タコピーの原罪』に登場する雲母坂まりなは、単なるいじめっ子ではありません。
彼女の過激な行動の裏には、崩壊した家庭環境や歪んだ愛情といった深い闇が存在します。
この記事では、タコピーとの関係、まりなの死の真相、高校生編での再登場など、多くの読者が疑問に思う彼女の「真実」に迫り、考察を交えて詳しく解説します。
- 雲母坂まりながいじめに走った本当の理由
- 「まりピー」誕生と衝撃的な死の真相
- タイムリープ後の世界で得た救いと再生の物語
雲母坂まりなのいじめの本当の理由とは?
まりながしずかをいじめていたのって、単なる嫉妬とか、よくあるスクールカーストの話だと思ってたんです。
でも物語を読み進めるうちに、「それだけじゃないな」って感じました。
むしろ、もっと根っこの部分に、本人すら気づいていない闇があったんじゃないかと思えてきます。
表面的な理由はしずかへの敵意
作中で最初に描かれるまりなの態度って、本当にえげつないんですよ。
「アバズレの娘」とか「クソ犬管理不行届傷害女」とか、小学生とは思えない暴言を平気で吐くし、しずかの持ち物を壊したり隠したり、挙げ句の果てには愛犬チャッピーまで巻き込むなんて、もう度を越えてる。
最初はしずかがただ嫌いだから、っていう単純な理由に見えるんですよね。
でも、しずかの母親が父親を奪った存在=「水商売の女」だったことを知ると、まりながしずかを憎む理由が表面化してくるんです。
本当の原因は「母への愛」と「家庭崩壊」
でももっと深く見ていくと、しずかへの憎しみの裏にあるのは、まりなの壊れた家庭環境と、彼女なりの母親への愛なんですよね。
父親がしずかの母親に入れ込んで家庭を壊し、母親は精神を病んで、まりなに暴力をふるうようになった。
そんな環境の中で、「ママの味方でいられるいい子」になろうと必死だったまりなは、しずかに対して「あなたさえいなければ」と強く思っていたんじゃないでしょうか。
しずかはまりなにとって、ただのクラスメイトじゃなくて、家庭を壊した象徴的な存在だったのかもしれません。
だからあんなに執拗に、容赦なく、傷つけた。
それは、自分の中にある怒りとか、悲しみとか、どうしていいかわからない感情をぶつける「的」が必要だったからなのかも。
私たちが彼女の行動を見て「ひどい」と思うのと同時に、「そうせざるを得なかったのかも」と思わせられるのが、まりなの怖さであり、切なさだなって思います。
まりながたどった悲劇的な結末と「まりピー」の真実
読み進めるうちに「まりな、もしかして死ぬの……?」って不安になった人、多いと思います。
でもまさか本当に、あんな形で命を落とすとは……。
『タコピーの原罪』ってタイトルの意味が、この展開でズシンと響いてきました。
タコピーによる撲殺とハッピー道具での隠蔽
しずかを守ろうとしたタコピーが、まりなをハッピーカメラで撲殺してしまう場面は、ほんとにショックでした。
「ハッピー道具」が殺人に使われるって、もう完全に皮肉でしかないんですよ。
しかも、そのあと死体を隠して、何事もなかったようにタコピーがまりなに変身して過ごすとか……。
子ども向けSFみたいなノリだったはずが、一気にダークサスペンスへ急降下する感じ、ほんとに衝撃でした。
タコピーが変身した「まりピー」とは何か?
タコピーが変身したまりな――通称「まりピー」って、ちょっと奇妙なんですよね。
いつも「っピ」って語尾つけて喋るし、妙にポジティブで明るすぎる。
まりなが抱えていた重たい過去や苦しみを、タコピーが知らないまま代役として動いてるって構図が切なすぎるんです。
しかも、周囲の人たちは何となく違和感は感じてるけど、「性格変わったのかな」くらいの認識で、誰も本当のことに気づけない。
“死んだまりな”は消されて、代わりに“明るいまりピー”が上書きされてしまうって、怖くないですか?
ハッピーに見えて、どこか不気味で、タコピーの無邪気さが逆に残酷に感じるシーンでした。
ここまで読んで、「タコピーって善なの?悪なの?」って考えざるを得なくなる。
たぶん、私たち読者に「正義って何?」って突きつけてくる、すごく象徴的な出来事だったんじゃないかと思います。
高校生編で再登場したまりなが示すもうひとつの真相
正直、まりなって小学生で死んだまま、もう出てこないと思ってました。
でもまさか、高校生になった姿で再登場するなんて……
しかもその姿には、彼女のこれまでの苦しみや痛みがハッキリと刻まれていたんです。
東くんとの恋愛と失恋、そして母親殺害
高校生になったまりなは、同級生の東直樹くんと付き合っていました。
この時点では、ちょっと希望が見えた気がしたんですよね。
だって、恋愛して笑ってる彼女って、初めてじゃないですか。
だけど、転校してきたしずかに東くんを奪われるって展開が、また地獄を引き寄せる。
母親の精神状態はすでにかなり危険だったけど、このことをきっかけに完全に壊れてしまいます。
その結果、まりなは自衛のために母親を刺してしまうという、最悪の展開に……。
最初はいじめ加害者だった彼女が、こんな形で“家庭の被害者”としての顔をむき出しにするなんて、思ってもみませんでした。
自殺未遂と「タコピー」との別れ
さらに追い打ちをかけるように、まりなは自殺未遂を起こします。
もうね、「まりな、そこまで追い詰められてたのか」って、胸が締め付けられました。
彼女が手にしたガラスの破片、それって昔母親からつけられた傷の記憶でもあるんですよね。
この直前、タコピーが「まりなをハッピーにする」って言って飛び立っちゃうんですけど、
まりなは本当は、話を聞いてほしかっただけなんじゃないかって思うんです。
でも、タコピーは“彼女の一言”を真に受けすぎて、勝手に消えちゃう。
このすれ違い、ほんと痛すぎる……。
救われたかった子が、結局最後まで救われなかったって事実に、やり切れなさが残ります。
だからこそ、このあとに続く“時間を巻き戻した世界”での展開に、希望を感じた人も多いんじゃないでしょうか。
タイムリープ後の世界で変化したしずかとの関係
まさか『タコピーの原罪』が、タイムリープで未来をやり直す展開になるとは思いませんでした。
タコピーが自分の命と引き換えに、しずかを“あの時”に戻すっていう決断……重すぎますよね。
でも、そのおかげでまりなとしずかの関係が大きく変わる未来が描かれるんです。
記憶がないはずなのに涙する二人
リープ後の世界でも、最初はまりなはやっぱりしずかをいじめているんです。
あぁ、やっぱり過去を変えても、人は変わらないのかな……ってちょっと絶望しそうになります。
でも、しずかがノートに描いたタコピーの落書きを見たとき、二人がなぜか涙を流すんです。
記憶としては残っていないはずなのに、心の奥底に刻まれた大切な存在を、ちゃんと感じている。
あの瞬間、何かが二人の中で確実に変わったって思いました。
いじめが友情へと変わった理由
2022年の世界では、なんとまりなとしずかが一緒に買い物をしているんですよ。
もうそれだけで泣けるんですけど、さらにお互いの家庭環境を冗談っぽく話せるようになってて。
「あんな地獄みたいな過去を経て、よくここまで来たな……」って感慨深すぎます。
たぶん、いじめがなくなった理由って、ただ環境が変わったからじゃなくて、
お互いが「苦しんでいたことを、なんとなく理解できた」からなんじゃないかなと思うんです。
言葉じゃなくても、記憶じゃなくても、伝わるものってあるんだなって。
そしてこれは、タコピーが「本当に残していったもの」なんじゃないかって思えてくるんです。
まりなも、しずかも、タコピーにハッピーを教わったんじゃなくて、
どうやって人と向き合うかを教わったんだな、って。
タコピーとまりなが教えてくれた「闇」の正体と、そこに差し込む光
いじめも暴力も、ただの「悪」ではなかった
まりながしずかをいじめた理由は、単なる憎しみではありませんでした。 母親に愛されたかった少女が、歪んだ家庭で育ち、心の痛みを他者にぶつけるしかなかった――その事実が見えてくると、「加害者」という言葉の単純さに違和感を覚えます。
闇の奥にある叫びを、私たちは見逃していないか?
まりなは母親を殺し、自分の命も絶とうとしました。けれど、タイムリープ後の世界で彼女は変わりました。 しずかとの関係も、暴力から友情へ。 記憶はなくとも心に残っていた“何か”が、彼女たちを救ったのです。
この物語が伝えているのは、「救われるべきは“悪い子”ではなく、声を出せなかった子たち」だということ。 タコピーとまりなの物語は、現代を生きる私たちに“本当の幸せ”とは何かを問いかけてきます。
- まりなのいじめは家庭環境が原因
- 母親の愛を得たくて「いい子」を演じた
- タコピーに撲殺され「まりピー」として代替
- 高校編では東との恋愛と失恋が転機に
- 母を刺し殺し自殺未遂にまで追い詰められる
- タコピーの犠牲で時間が巻き戻る
- 記憶がなくても涙するしずかとまりな
- 新たな世界では二人が和解し友情が芽生える
- 「加害者も救われる可能性がある」を示す物語